
四川の麻辣
四川料理は、一般には唐辛子や花椒(山椒の同属異種)などの香辛料を効かせる辛い中華料理として知られる。四川省の中でも成都を本場とする。四川料理は中国各地に専門店が存在しており、「正真正銘・正統派の四川料理」という意味の「正宗川味」という看板をよく見かける。
酸(酸味)・辣(辛味)・麻(しびれ)・苦(苦味)・甜(甘味)・香(香り)・鹹(塩味)の7つの味で成り立つことで知られる。 特に痺れるような辛さを意味する「麻辣」(マーラー málà)を味の特徴にしており、中国の他の地方の料理に比べて香辛料を多用する
辛い料理が多い理由として、四川の成都は盆地で湿気が多く、唐辛子に含まれるカプサイシンの効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使うインド料理やタイ料理と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。
他の調味料では、ソラマメの加工品である豆板醤(トウバンジャン)、黒大豆の加工品である豆豉(トウチ)、米を発酵させた酒醸(ジュウニヤン)などが頻繁に用いられる。五味をあわせもつ怪味ソースというものもある。
なお、現在の行政区分では四川省でも、西部の山岳地域はもともとチベットが領土を有していた時代のカム、そして西北部はアムドであり、それぞれ後に四川省と青海省に分割されたものの、料理はチベット料理が主体の地域となっている。